口臭予防には、たっぷりの唾液。

人と接する機会の多い看護職にとって、気になるのが口臭エチケット。今回は、『日本人は、口が臭いってホント?』の続編です。
前回と同様、内科医・認定産業医の桐村里紗先生の著書『日本人はなぜ臭いと言われるのか 体臭と口臭の科学』(光文社新書)から、興味深い内容をピックアップしてご紹介します。
唾液の浄化パワーを見直そう。
口臭予防というと、真っ先に思い浮かぶのは歯磨きですが、実は人間にはもともとお口のなかをきれいに保つ優れた機能が備わっています。それが、唾液です。「唾液がしっかりと健康的に分泌されていれば、大きなトラブルは起きないし、病的な口臭も起きないといっても過言ではない」と桐村先生は述べています。
では、唾液は一日にどれくらい分泌されているかご存じですか。健康な人の唾液の量は、1日に1000〜1500ml。500mlのペットボトルに換算すれば、2〜3本分。けっこうすごい量ですね。耳下腺(じかせん)、顎下腺(がっかせん)、舌下腺(ぜっかせん)の3つの大唾液腺と、多数の小唾液腺から、泉のように唾液がわき出て、口の中の食べかすなどを洗い流してくれているのです。
唾液には、殺菌作用やコーティング作用も。
唾液の力は、食べかすなどを洗い流す洗浄作用だけではありません。唾液の殺菌成分・リゾチームは、細菌の壁を破壊し、病原となる微生物が増えないように保っています。また、お口のなかのpHが酸性に傾くと、歯の表面をおおっているエナメル質が溶けて虫歯になりますが、唾液には、酸性に傾いたpHを中性に戻す作用があります。このほか、歯や粘膜表面を守り、病的なプラークが形成されるのを防ぐコーティング作用も…。このようにさまざまな作用をもつ唾液は、口臭予防のみならず、虫歯予防にも大きな働きをしているのです。
現代人は、唾液の分泌が足りない!?
お口の健康を支える要ともいえる唾液ですが、実は、現代人は唾液の分泌が低下するライフスタイルを送っています。
もっとも良くないのが、「噛まない習慣」です。ふわふわスイーツなど、柔らかい食べ物が好まれることから、日本人の顎の骨はどんどん小さくなってきました。咀嚼回数は、弥生時代の約4,000回に比べて、4分の1に。昭和初期の約2,000回と比べても、2分の1まで落ち込んでいるそうです。唾液は噛むことで分泌されるので、できるだけ意識して、硬いものをしっかり噛むようにしたいですね。また、ゆっくり噛むことも大切です。ゆっくり噛めば、脳の満腹中枢が刺激され、肥満の防止にもつながります。
スマホも、口臭の原因になっている。
噛まない習慣と合わせて、桐村先生が問題視するのは、「スマホ中心のライフスタイル」です。電車のなかを見渡すと、うつむいてスマホをいじっている人ばかり。スマホを見ている最中は、交感神経が刺激され、唾液の分泌が低下してしまうそうです。また、スマホをする時間が増えると、それだけ人と会話する時間が減り、口の回りの筋肉や舌を動かさなくなることから、唾液の分泌が減ってしまうといいます。
そういう意味では、看護職という仕事はたえず患者さんや医師、スタッフと会話を交わしていますから、やや安心。唾液がしっかり分泌されている人が多のではないでしょうか。
◎唾液力のお話、いかがでしたか。次回は、いよいよ口臭シリーズの最終回。歯磨きのタイミングや「歯を洗う」効果についてご紹介します。お楽しみに〜
●参考資料
『日本人はなぜ臭いと言われるのか 体臭と口臭の科学』光文社新書
著者:内科医・認定産業医 桐村里紗
発行:株式会社光文社
画像提供:PIXTA
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